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2024/01/31 不動産ニュース
駅南側に住居や商業施設、オフィスなどが入居する2棟のビルの建設が計画されている
東京23区北西部に位置する練馬区。23区中で2番目に人口が多く、区内には、西武池袋線や東京メトロ有楽町線など8路線が走っており、交通利便性も高い場所だ。
同区の主要駅「石神井公園(しゃくじいこうえん)駅」では、「石神井公園駅南口西地区第一種市街地再開発事業」が進行中で、駅南側に住居や商業施設、オフィスなどが入居する2棟のビルの建設が計画されている。
練馬区によると、2023年10月時点で再開発組合の設立と事業計画認可が完了しているという。この記事では、石神井公園駅前の状況や再開発計画の概要などについて解説する。
石神井公園駅は、池袋駅と埼玉県飯能市にある吾野駅とを結ぶ西武池袋線の駅だ。
石神井公園駅は、快速急行や急行の停車駅であり、池袋駅までの所要時間は急行で約12分、各駅停車を使っても約20分だ。1日あたりの乗降者数は、西武線92駅中10位にランクインしている。
西武池袋線は、東京メトロ副都心線と有楽町線に乗り入れをしており、石神井公園駅から乗り換えなしで、新宿三丁目(最短20分)や渋谷(最短26分)、飯田橋(約30分)、有楽町(約40分)まで行くことができる。
このように、石神井公園駅から都心へのアクセスは優れていると言えよう。
道路交通に関しては、石神井公園駅の東側には環八通りが通っているほか、北側には関越道の練馬インターチェンジもある。
駅周辺の環境はどうか。駅から約500メートル南側に歩くと、駅名の由来となった「東京都立石神井公園」がある。
約20ヘクタールの広大な園内には野球場やテニスコートなどがあり、スポーツができる。石神井池では貸しボートを楽しめるほか、自然を感じながらの散歩にもちょうど良い場所だ。
駅から徒歩10分圏内には、練馬区役所石神井庁舎や石神井警察署といった公共施設、順天堂大学医学部附属病院などがある。
また、「エミオ石神井公園」といった商業施設も充実している。都心へのアクセスや周辺環境が良い点について、インターネットでの口コミ評価が高い。
一方で、地元住民からは、飲食店の少なさや道幅の狭さなどに対する不満が挙がっている。また、シネコンのような娯楽施設がないことを指摘する人もいる。
ただ、全体的には街の良い点が評価されているのか、石神井公園駅や今回の再開発対象エリアを含む石神井町の人口は増加傾向にある。
石神井公園駅南口西地区市街地再開発組合が2023年に公表した事業計画書には、再開発の狙いが次のように示されている。
・駅周辺における商業活動の活性化
・石神井公園へのアクセス向上
・老朽化した建物の更新
・狭あい道路の解消と十分な歩行者空間
再開発対象の南口エリアには狭い道路や古い建物が多く、そうした道幅の狭い道路をたくさんの自転車と歩行者が同じ場所を行き交うため、安全面の不安があった。
「練馬区都市計画マスタープラン」によると、今回の再開発対象地域を含む石神井公園駅周辺地区は、練馬区西部の地域拠点として位置付けられているようだ。
再開発によって交通の流れを改善し、商業活動の活性化やまちの顔である石神井公園へのアクセス向上を目指す。
石神井公園駅周辺のまちづくりの経緯を見ると、2012年に西武池袋線の連続立体交差事業によって、駅の高架化が実現している。
南北間の移動がしやすくなり、西武鉄道が地域住民に実施したアンケートでは調査対象者の約9割が「線路の反対側の地域(施設)に行きやすくなった」と回答した。
また、高架化により、2015年1月までに練馬〜石神井公園駅間にある計28カ所の踏切が撤去されている。
これによって駅南口に近く、通勤や通学で多くの人が利用する富士街道の交通渋滞が緩和。練馬~石神井公園駅間の複々線化によって、ラッシュ時の混雑も和らいだ。
再開発の対象となっているのは、駅の南口に近接する約0.6ヘクタールの土地だ。住所では、練馬区石神井町3丁目の一部が該当する。
事業計画書によると、対象区域は都市計画道路「補助232号線」を境に北街区と南街区の2つに分け、それぞれの街区にビルを建設するという。通りを挟んで南北に2棟のビルが建設されるイメージだ。
北街区には地下2階、地上26階建て、高さ約100メートルの高層ビルの建設を予定する。地下階が駐輪場と駐車場、1階から2階が店舗、3階から5階が公益施設、6階以上が住宅の入居を想定している。
駅前に公益施設を整備することにより、区民の利便性の向上を狙う。
南街区には、地上9階建て、高さ約35メートルのビルを建設する。1階と2階が店舗、3階から5階までがオフィス、6階から9階までが住宅となる予定だ。駐車場、駐輪場は北地区に設けるようだ。
両地区とも、環境への配慮を重視し、省エネルギー・空調負荷軽減対策として遮熱ガラス等を積極的に採用する見込み。
また、大規模災害への備えとして、高層ビルが建つ北地区には制振構造を採用する。防災備蓄倉庫や自家発電設備も設置するという。
再開発事業には野村不動産が参画する。2024年度に建設工事着手、2027年3月に竣工を目指す。
石神井公園駅の周辺には、北口も含めてすでにいくつか背の高い建物が建っているが、事業計画通りに100メートルのビルが誕生すればインパクトも大きい。再開発によって、駅前の印象は大きく変わるかもしれない。
しかし、まちのイメージを大きく変える再開発計画は、地元住民の反対運動を引き起こした。
報道によると、一部の地権者や周辺住民が、再開発事業組合設立認可の差し止めや地区計画変更の取り消しを求めるとして、東京地裁へ訴訟を起こしたという。
原告は、練馬区がまちづくりのルールを守っていないことを指摘している。
2012年に練馬区が決めた「石神井公園駅南地区地区計画」では、再開発該当エリアの建物は最高で35メートルとしていた。
しかし、2014年に区が石神井公園駅南口西地区市街地再開発準備組合を立ち上げ、区長判断や市街地環境の改善に資すると認める場合といった条件付きで、より高い建物を建築できるとしたのだ。
区が2020年に行った説明会では、一部で「南口は車が多くて危険で歩きづらい」「歩行者優先の界隈を作ってほしい」といった期待を含む意見が見られたものの、建物の高さへの不満を含む再開発への反対意見が圧倒的に多かった。
具体的に挙げるならば、「駅前に複数の高層建築物が建つのは石神井公園のまちづくりのコンセプトに合わない」や「ビル風が不安」といった懸念だ。
このように、区と住民との間に意見の相違が見られたままであるにもかかわらず、区は同年12月に都市計画を決定した。
当然ながら、原告側はこれに納得しておらず、2023年12月時点で決着を見ていない。裁判が長引けば再開発スケジュールに影響が出る可能性もあるだけに、今後の動向が注目されている。
(朝霧瑛太/楽待新聞編集部)
引用元:【練馬区「石神井公園駅」前に2棟のビルを建設、「地域拠点」として商業活動の活性化へ |楽待不動産投資新聞 (rakumachi.jp)】
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